旅行記[2006/07/12・Vol.15 箱根仙石原U]




FIAT Punto...

 箱根でドライブとしゃれこんだ。今日は夏休みである。小田急町田駅10:01発の箱根湯本行きのロマンスカーに乗る。事前にネットで予約したので、駅の窓口で電話番号を言うとスムーズに発券された。なんと、この日早朝の車両点検が尾を引いて、乗ったロマンスカーは小田原止まりとなってしまった。まぁ仕方がないか、1時間弱の社内では『信長の柩』を読む。隣は空席であった。
 小田原で急行に乗り換え、箱根湯本に着いたのは11:40くらいであった。予定より40分ほどかかってしまったが、何も予約していない気ままな一人旅。気を取り直して、レンタカー会社へ電話する。この会社は出来て約1年、ヨーロッパの車ばかりを扱っている。BMB Z4, Audi TT Roadster, VW Beetle Cabriolet, Mini Cooper などだ。この日僕が借りたのは、FIAT Punto。右ハンドルなので、運転に違和感はない。ただし、ターン・シグナル・レバーは左、ワイパーは右。ウィンカーを出そうとして、度々ワイパーを動かしてしまった。でも、今日は曇り時々雨。よしと、しよう。
 さて、湯本から国道1号線で『ガラスの森』へ向かう。右へ、左へのカーブでは、2速・3速を多用する。マニュアル感覚でシフトチェンジを楽しみ、結構軽快に走ることが出来た。宮ノ下で138号線に入る。道幅はこちらの方が広いだろう。交通量も少なく、快適なドライブが出来た。そう思っているうちに『ガラスの森』に到着である。ここは、かの『うかい亭』グループの経営である。河口湖の『オルゴール博物館』と似ているのはそのせいだろう。まずはメインのヴェネチアン・グラスの建物へ。迎えてくれるのは、大きなシャンデリア。それから、輝くグラスの数々。面白いのは、グラスの足の部分がドラゴンやドルフィンでデザインされているもの。ドラゴンも、竜そのものもあれば、竜の落とし子もある。愛嬌のあるもの、清楚なもの、シンプルなもの。様々なグラスは、どんな人々に愛されてきたのか、そして使われてきたのか。ガラスという壊れるものだけに、儚さと思いが募る。
 次ぎにまわったのは、現代ガラス館。ここには実用的なものではなく、所謂オブジェが飾られている。綺麗さとおもしろさはあるが、僕はもっと実用的なものの美しさが好きだ。ことにグラスが一番好きである。「こんなグラスで何を呑もう?」と想像するのが楽しいのである。そして、ミュージアム・ショップへ。ホントは、時間があればサンド・ブラストをやってみたかったが、それは今度にとっておこう。
 ここで気に入ったのは、庭園にあったガラスの木。そう、木にガラスで装飾が施してある。きっと、暗くなったらとってもキレイなのだろう。そんな時には、一人では淋しいだろうね。そんなことを思いながら、『ガラスの森』を後にした。
 もう1時半をまわっている。お昼を食べる予定の『丹精』はあいているだろうか。『ガラスの森』からは、ほんの5分くらいだ。駐車場の奥に止まっているのは、ペンションの宿泊客の車か。レストランのドアを開けて中にはいると、誰もいなくて静まりかえっている。洗い物をしていた人に「まだやってますか?」と聞くと、「どうぞ、どうぞ」と案内してくれた。頼んだのは、サーロインランチ 約\1,800.-。肉厚は薄目だが、香ばしい薫りと定番の大根おろしの醤油ソース。結構いけるのだ。180gだったが、次回は300gに挑戦してみようか。
 『丹精』の駐車場を左にでて、少し走った突き当たりを奥側へ曲がる。ここは、去年来たから迷わない。すれ違う車もほとんどない道をしばらく走ると、左側に『ポーラ美術館』。エントランスが一番上の階、一つ下がってチケット売り場、もう一つ下がってメイン会場。今回は、『Picasso Five Themes』。
 その1は、青の時代。本来暗く沈んだモチーフと色。それなのに、その奥に生命力と力強さを感じるのは僕だけだろうか。
 その2は、キュビズム。ピカソのピカソらしい絵、とても楽しい絵。簡単に描けそうなのに絶対描けない、そんなピカソの絵。
 その3は、静物。これもピカソ独特となる。ピカソの目に映るもの、ピカソが感じるもの、それが絵画という表現で見る側に伝えられてくる。やはり、目で見るだけのものではないのだ。
 その4は、聖愛と俗愛。ピカソほど愛の強かった男もいなかったかも知れない。画家の大きなテーマは『愛=女性』だと思う。それに、背を向けたというか、報われなかったのがゴッホではあるまいか。
 その5は、スペインの伝統。ピカソは愛国者である。スペインと言うよりも、自分が生まれ育った港町マラガ、そしてバルセロナ地方。彼が愛したのは、民衆であり、その土地の伝統である。
 他にもいろいろ書くべきことはあるのだが、スタミナが持たない。この日も、わずか2ヶ所まわっただけで、いっぱいいっぱいとなってしまった。4時頃に『ポーラ美術館』を後にして、強羅経由で湯本へ戻った。Punto をレンタカー会社に返し、駅まで送ってもらった。帰りもまたロマンスカー、隣の席は空いている。調度、『信長の柩』も読み終わり、一日の休みが終わった。次回は、Mini Cooper など借りてみよう。ライトブルーが綺麗な車の助手席には誰を...




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