お散歩[2002/06/11・Vol.08 チュニジアの夜]




何故か、CDをお散歩(その1)...

 時は1953年5月15日、場所はカナダのトロントのマッセイ・ホールである。この夜開催されたライブ・レコーディングは、ジャズ史上に燦然と輝くのである。なんと言ってもメンバーがすごい! アルトサックスにチャーリー・パーカー、トランペットにデイジー・ガレスピー、ピアノはバド・パウウェル、バスはチャーリー・ミンガス、ドラムスはマックス・ローチである。
 さて、なぜ突然昔のレコード(CD)の話になったかというと(日記を読んだ方はご存じだろうが)、いまワールドカップたけなわである。昨日の10日、H組では格下に見られていたチュニジアがベルギーと引き分けた。日本チームは、14日にチュニジアと対戦し、2点差以上で負けない限り決勝トーナメントへ進む。こんなニュースを聞いていた思い出したのが「チュニジアの夜」だった。この曲は、「Jazz At Massey Hall」と言うLPに収録されている。「ソルト・ピーナッツ」の入っているアルバムと言った方がわかりやすいかも知れない。
 このLP(当時はレコードだった)を初めて聞いたのは、21年くらい前になる。当時はまだ学生で、ジャズ好きの先輩からレコードを借りたのだった。この辺が、僕のジャズのルーツだろうと思う。その先輩は、朝海さんと言い、ホントは「あさみ」と読むらしいが、みんな「ちょーかいさん」と呼んでいた。何とも小汚くて、パッと見にはホームレスのようにも見える。しかし、ギターを弾き始めると何ともカッコイイのだ。いま、ちょーかいさんは何をしているだろう。チュニジアと聞いて、ガレスピーやパウウェルを思い出しているだろうか。そんな感傷的な昔話を思い出させてくれるワールドカップでもあった。
 そうそう、もう一言書いておかなければ。その朝海さんの名言「寝たら情が移るんだよなぁ」は、当時二十歳を過ぎたばかりの僕にとって、やけにしみじみと聞こえた。なんだか、実感とペーソスのある、「ちょーかい」さんの言葉であった。



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