週間美術館[2004/02/22・Vol.06 Da Vinci]



美術を越える、旅の人...

  レオナルド・ダ・ヴィンチ[1452〜1619]を知らない人はいないだろう。彼が生きた時代とは、日本で言えば室町中期から戦国時代の初めである。そのルネサンス時代はまだ「科学」と言う分野はなく、魔術と科学が混在した時代だったという。そして「美術」も創造的な芸術活動と言うより、職人の手仕事との観念が強かった。そんな時代にレオナルドは絵画を一つの芸術考え、自然の研究と哲学的思想に基づく表現の可能性を追求し続けたと言っても過言ではないだろう。だからこそ、彼は『万能の天才』であり、各分野を超越しているのではあるまいか。
 さて『最後の晩餐』と言う壁画であるが、この作品が現存していることが奇跡に等しい。というのは、顔料を油で溶くテンペラという技法は、油が酸化するため完成してまもなく傷み始めた。さらに2度の洪水、ナポレオン軍が倉庫に使用、第2次対戦で修道院自体が瓦礫となるなどまさに茨の道であったのだ。
 少しだけ絵の解説をしよう。ちょっとわかりにくいと思うが、この絵はキリストを中にして13人の使徒が描かれている。そして遠近法の消失点は、キリストの右のこめかみである。そして「この中に私を裏切るものがいる」と言葉を発するキリスト。その言葉が左右の使徒に波のように伝わっていく。驚き、疑い、悲しみ、嘆き、怒り。その中で一人だけ身を引くユダが、あなたにはわかりますか?