画家再発見[2002/06/29・Vol.10 GARE]




不思議な造形は、闇を照らす...

  エミール・ガレは、1846年5月4日にフランスのナンシーに生まれる。父はガラス器・陶器の卸売業者で、ガレ自身は若い頃から、文学・修辞学・哲学・植物学などを学んだ。
 1866年にはビュルグン・シュヴェーラー商会の工場でガラス技術を研修し、1877年に父の会社を継承する。1878年のパリ万国博覧会に参加し、陶器とガラス部門で銅賞を受賞している。さらに、1889年のパリ万国博覧会ではガラス部門でグランプリを受賞、陶器部門で金賞、家具部門で銀賞を受賞している。
 1894年には、ナンシーにガラスの窯を設置し、一貫生産を始めた。ガレ・クリスタル社の社長として、またアール・ヌーヴォー・ナンシー派の指導者として活躍したのは有名だ。そして、手作りの良さを残した優美なガラス器の製造を工業化し、分業生産を実施したのである。1904年9月23日、白血病で死去。その後、1931年までガレブランドの製品の生産は継続された。
 ざっと、彼の経歴をたどるとこんなことになるのだが、知識よりも感性だ。そして本当は、美術館で眺めるものではなく、使って初めて本当の良さが判るのであろう。上の写真は「一夜茸」と言うランプであるが、何ともなまめかしい。こんなランプの元でゆったりと読書などできたら、なんと優雅な気分になるのだろう。いつか、そんな夜が訪れるだろうか...