五木寛之[2004/04/18・Vol.24 風の王国]



翔ぶ女、峠の群像、走り湯...

 「出発は今夜の午後九時。集合地はこの近くの高輪二丁目泉岳寺下の旧大木戸跡の石碑前にしましょう。目標点は伊豆山の伊豆山権現奥の院です」
と言うのは「翔ぶ女」で、『風の王国』の222頁である。

 上の写真の右側が、その「旧大木戸跡」である。まぁ、江戸の入り口というか、ここから先は江戸ではないよと言う門だったのだ。
ここから少し行ったところに、忠臣蔵で有名な泉岳寺がある。『忠臣蔵』はいろいろな作家が書いているが、堺屋太一の『峠の群像』は大変おもしろい。NHKの大河ドラマにもなったが、それは見なかった。

 話を元に戻すと、この「泉岳寺下の旧大木戸跡」から「伊豆山権現奥の院」までの約120Kmを主人公の速見卓と葛城哀は18時間ほどで歩くのだ。
平均時速約6.7Kmとなる。分速は約111mでかなり早い。
 ちなみに上の写真左側が、伊豆山神社である。この近くには有名な、「走り湯」がある。熱海ビーチラインで湯河原から熱海に向かう熱海のほんの手前である。車で行けば、順調に走れれば2時間くらいのところである。
そうそう、藤枝梅安が湯治に出かけるのもこの近くである。熱海港が近いので、魚も美味いし、温泉もあるし。江戸時代ではかなり遠いところで、旅行自体一般人にはできなくて、裏家業の骨休めとほとぼりさましには調度良かったようだ。

 さてさて、また話を元に戻すと、と思ったが、誠に残念であるが、文字数制限が後わずか。
このお話の続きは、さて、いつになる事やら...



Data:風の王国(昭和61年1月新潮社刊)
アメーバブックス、2006年12月30日発行
昭和61年→1986年